ホビ−ライフタイトル

鉄道模型の楽しみ方1

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 今回は、いよいよ鉄道模型。これは著者にとっては写真と並び、中抜けはあったものの20年以上もやっている趣味だ。とても奥が深い趣味でもあり、詳しく書くと、とてもこのコーナーにはおさまらない。今回はNゲージに絞って、その魅力の一部を紹介しよう。


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長い歴史があるホビーだ

 鉄道模型の歴史は鉄道の歴史に匹敵する・・・と言っても過言ではない。1804年にイギリスで蒸気機関車が走った数年後には、登場している。もっとも、当時の鉄道模型は、実物と同様に蒸気で走る大型模型で、個人で楽しむというより催しもの用、献上用として作られた物であった。1854年、日本に再度来航したアメリカのペリー使節団の徳川将軍への献上品の中にも、このような鉄道模型があったとの史実がある。このころから、欧米では一般の人々も鉄道模型を手にするようになったと伝えらているが、初期のものは実物の忠実なスケールダウンではなく、もっと玩具的なものだったそうだ。
 1900年代に入るとスケール(縮尺)とゲージ(軌間:レール間の寸法)を統一する考え方が生まれ、1番ゲージ(軌間45mm)やOゲージ(オーゲージ 軌間32mm)が登場する。その後、モーターや技術の進歩にともなって、さらに小型のHOゲージ(軌間16.5mm)Nゲージ(軌間9mm)Zゲージ(軌間6.5mm)などが登場した。
 現在、日本も含め世界的にも主流になっているNゲージは、1960年にドイツのアーノルド・ラピード社が発表したもので、NゲージのNは数字の9(nine)の頭文字からつけられたものだ。縮尺は1/145〜160で、HOゲージの1/4の面積でレイアウトが楽しめることから、急速に愛好者が増えていった。日本では、現在の関水金属が1965年に製造を開始。トミーやグリーンマックス、有井製作所などが参画し、バラエティも豊かになっていった。


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精度も性能もますますアップ

 現在のNゲージは、著者が始めた1974年当時と比べると、出来映えも性能も格段に良くなっている。しかも値段は、ほとんど変わっていない(電気機関車1両が4,500〜6,000円ぐらい)!!ポケットマネーで気軽に始められるホビーになった。車両はきれいな保存用ケースに入れて販売されているので、そのまま飾っておくだけでも楽しい。完成したジオラマと組み合わせた、展示用ケースも販売されている。


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自分の好みで自由にアレンジしよう

 もう一歩進んで楽しみたいという人には、簡単な車両改造をおすすめしたい。小さな車両でも、別売の前尾照灯や室内灯を取り付けると、夜汽車の旅情が楽しめるようになる(写真左)。プラモデル用の塗料で、汚し塗装(煤や鉄粉で汚れた感じを出す)すると、ぐっと本物らしくなる。また、自分の好きな色に塗装するのも楽しいものだ。趣味の世界なんだから、ピンクの新幹線や黄色い蒸気機関車があってもかまわない。


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走行に必要なもの

 走らせて楽しむためには、線路と電源が必要だ。実際の鉄道のように、ある地点間を往復する線路を敷くと、いくらNゲージでもかなりのスペースが必要になる。円形または八の字形のエンドレス軌道が一般的だ。ポイントや踏切、高架、鉄橋などのパーツも豊富に揃っている。Nゲージ界では車両と同様関水金属(KATOブランド)とトミー(TOMIX)が2大メーカーだ。メーカーが違うと接続できない場合があるので、同じメーカの線路を揃えよう。写真はパワーパックと呼ばれる電源装置だ。これで、走行、電動ポイント、レイアウト照明などに電気を供給する。これも線路と同じメーカーのものがよいだろう。


レイアウトの種類について

 Nゲージの醍醐味といえば、やはりレイアウトを作りにある(HOゲージ以上の鉄道模型愛好者の人は、車両を改造、自作する場合が多い)といえる。レイアウトは、その目的によって3つのグループに分けることができる。
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フロアレイアウト

 お座敷レイアウトとも呼ばれ、プラレールに代表される鉄道玩具と同じ要領で、列車を走らせる度ごとに線路を敷くレイアウトだ。車両や線路、パワーパックなどを、お得な価格でセットした商品がが各社から発売されており、入門用としても最適。普段はばらばらにしてしまっておくためかさばらないし、その時の気分で違った形にする事ができる。線路を買い足せば、かなり大きなプランに発展させることが可能で、16両編成の新幹線を複数同時に運転するなんて事も比較的簡単。ただし、ストラクチャー(建物)や背景に凝る事ができないため、臨場感に欠ける面がある。トミーから道路や地形を印刷したマットなども発売されており、それに合わせて線路を敷く方法もある。


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固定レイアウト

 木製の台の上に発砲スチロールやブラスターで地形を作り、線路や建物を固定したレイアウト。それなりに製作費もかかるが、臨場感あふれる鉄道風景を演出する事ができる。しかし、凝ったレイアウトを作成するには知識と技術が必要になるし、一度完成したレイアウトの変更は難しい。ほこりや汚れへの対策も必要だし、設置場所の制約も受ける。
 上の写真は関水金属から発売されている「KATOデスクトップレイアウト」(29,800円 車両や電源、建物などは別売)だ。樹脂一体形成の地形に線路を固定した半完成品で、軽量なので使わない時は壁に掛けておく事もできる。


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モジュールレイアウト

 一定の規格に基づいて作られた木製の台(モジュールパネル)の上に地形を作り、線路や建物を固定したもので、固定レイアウトを分割できるようにしたもの。他の人と分担して製作し、合同で走行をたのしむ事もできる。ただしパネルの連結部分が目立ちやすいし、山や谷など起伏にとんだ地形は表現しにくい面がある。
 モジュールパネルはメーカーにより規格が違うので、購入時には注意が必要だ。  


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その他の、入門用におすすめの商品

 有井製作所から発売されている「マイクロエース Nゲージレイアウトボックス」(19,800円)は90×60×13cmのボール紙でできたトランクの中に発泡スチロール彩色済の地形、線路、パワーパックなどがセット済の完成品!今ならD51蒸気機関車まで附属しており、ふたを開ければいつでも運転が楽しめる(写真の客車は別売)優れもの。使用しない時は立てておけるので場所もとらないし、ホコリ対策も万全だ。小さなレイアウトだが、向かって右側にはレールを箱の外に延長するためのトンネルがあり、発展性もある。
 また、ショップでは美しいカラー刷のカタログやレイアウトプラン集、情報誌なども販売されている。見ているだけでもけっこう楽しめるし、固定レイアウトやモジュールレイアウトを作成する場合、レールや建物のサイズが必要になるので最新のものを購入しておこう。


走行シーン
アニメーションGIFで走行シーンをみる

本文中の価格はメーカー希望小売価格です


99年4月号

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