かなしみは空から降りてきて
この地に抱きとめられて包まれる。
しばらくこうして
大地の鼓動を聞いていよう。
朝(あした)の光とぬくもりが
涙を昇華させて
空に還すまで。
あの星。
いまにも消えそうな
あの星。
あなたの心のように
ゆらゆらとしている。
無理をしないで。
見えるふりなどしないで。
もうわかってる。
わたしがあなたを見ても
あなたはわたしを見ない。
心ははるかに遠い。
本当のあなたはいない。
そんな顔をしないで。
傷ついたふりなどしないで。
さあ。帰りましょう。
たぶんこれが最後。
ミッドナイトブルーの空の下。
星が見えなくなる。
あなたが消えてしまうから。
行けよ。今日は闇夜だ。月はさぼってる。
星だけじゃホントの姿は見せられない。
満月の夜にまた会おう。
カクゴしろよ。
グラスに山盛りのジン飲んで
からのグラスを投げて割る。
カクゴしろよ。
あんたの足下に続く影は
このオレが踏んでやる。
はばたいてみせておくれ。
そうすれば
信じられるかもしれない。
可能性(みらい)ということばを。
生まれる前に
生まれたくないと思ったら
生まれずにすんだのだろうか。
まるく閉ざされた安住の地に
いつまでも留まれたのだろうか。
否。
生まれ出た者だけが
「生まれたくなかった」などと言えるのだ。
バラドックス。
後悔できる者は
なんとしあわせなのだろう。