ホビ−ライフタイトル

中型カメラの楽しみ方

カメラの写真

 今回は、中型カメラについて。このところ「トミカ」や「たまごっち」のどの「おもちゃもの」が続いていたこのコーナーだが、久々に本格的なホビーが登場!1長い歴史をもつ中型カメラは、最新のデジタルカメラや小型カメラにはない数多くの魅力を秘めており、非常に奥が深いホビーだ。


画面比較図 フィルムの写真

中型カメラとは

 中型カメラというと「機材の大きさが中ぐらい」と考える人もあるだろうが、分類上は使用フィルムの大きさによって、分けられている。現在もっとも多く流通している、35mm判以下のフィルムを使用するのが小型、4×5判(しのごばん)と呼ばれる4×5インチサイズのフィルムを使用するのが大型だ。中型カメラはブローニ判と呼ばれる6cm幅のフィルムを使用する。撮影画面のサイズは6×4.5cm判からパノラマ写真が撮れる6×17判まてあり、いちばん小さい6×4.5判でも35mm判の約2.7倍、上の図の6×9判では約5.3倍もある。
 撮影画面が大きいということは「豊富な情報量を記録することができる」ということだ。肉眼でも見えにくい被写体が持つ質感までも、35mmカメラより鮮明に映像化することができる。もちろんその点では、大型カメラの方がすぐれているわけだが、大型カメラは高価で大きい。手持ち撮影はまず無理。1枚撮るごとにフィルムを差し換えなければならない、フィルムが手に入りにくい点など欠点も多く、その用途は、商業写真の一部に限られているのが現実だ。


スタジオ写真

中型カメラの活躍の場

 街のカメラ店では、あまり見かけることのない中型カメラだが、商業写真の分野では、七五三や婚礼などのスタジオ写真や集合写真、コマーシャルフォトや建築写真など、広く使われている。
「風景などをじっくり撮影したい」というアマチュアカメラマンにも愛好者が多い。
 今や35mmカメラでは当たり前になった、オートフォーカスや自動露出、電動ズームレンズ、フィルム自動送りなどの機能は大半の中型カメラには付いていない。中型カメラは基本的にはマニュアル機だ。フィルム装填からピンと合わせ、絞りやシャッタースピードの設定などは、すべて撮影者が手作業で行う。動きの速いものの撮影には向かないが、写真についての知識が深まるし、一枚一枚に撮影者のこだわりが記録できる。


フィルム装填の写真

使用する時の注意点

 中型カメラは、小型カメラにくらべると大きく重量もある。外付けストロボも必要だし、三脚も大きくしっかりしたものが必要だ。これらを合計すると、とたいへんな荷物になってしまう。野外撮影の時はあらかじめ撮影目的を限定し、それに合った装備に絞って用意する必要がある。
 つぎは、被写界深度とカメラぶれの問題だ。写真業界ではカメラのファインダーを通して見た画像が、裸眼で見た時とほぼ同じ大きさに見えるレンズを標準レンズと呼んでいる。レンズの性能は一般に焦点距離で表すが、小型カメラの場合、標準レンズはAPSカメラで約40mm、35mmカメラで約50mmである。これが中型カメラになると6×4.5判で約80mm、6×9判で約115mmとなる。焦点距離が長くなると、被写界深度(ピントの合う範囲)は浅くなり、カメラぶれも起こりやすくなる。望遠レンズ使用時などは、三脚を使っていても風にあおられたりしてぶれてしまうことがある。高感度のフィルムや、大型三脚の使用をおすすめする。
 また、ブローニフィルムは、写真専門店でしか販売されていない。旅行に持っていく時は、多めに準備しておこう。現像やプリント代も、APSや35mmフィルムより割高だ。


サイバー写真展「北海道・夏」

 ここでは中型カメラで撮影した作品を展示しています。ただし、写真の解像度はモニター解像度にあわせてあるため、実際の写真よりは落ちますが、中型カメラの持つ柔らかで細密な描写特性は、お分かりいただけると思います。展示写真をクリックしてください。 もとに戻ると時は、ブラウザの「戻る」機能を使用してください。

写真集


98年3月号


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