特集・改訂版梅小路蒸気機関車館レポ−ト


蒸気機関車館の写真
 吹き出す蒸気と石炭の煙、力強いドラフト音と哀愁をさそう汽笛。たくましい体に力をみなぎらせ、豪快に疾走する蒸気機関車はその全盛期を知らない「機関車ト−マス世代」にも深い感銘を与える。今回は、そんなSLたちを一堂に集めた京都の梅小路蒸気機関車館は鉄道開業100年を記念して昭和47年に開館。現在はJR西日本が運営管理している。97年1月号のこのコーナーで取りあげた事があるが、同年7月リニューアルオープンした。ますます魅力が増えた蒸気機関車館を、再びレポートしたい。

展示館の写真

時代を駆け抜けたSL達の殿堂だ

 今でも各地の公園や交通記念館などでは、動かない静態保存の機関車を時折みかけることがある。ここでは大正から昭和20年代にかけて製造され、昭和46年ごろまで全国で活躍した蒸気機関車17両を保存展示しているが、その内6両は走行できる状態で保存されている。動態保存の車両は8630、C57、D51、C56、C62、C61。どれも日本を代表するSLで、その中で少なくとも1機には窯に火が入っており、いつでも走行できる状態で展示されている。
 機関車展示館の入り口に近づくにつれ、石炭と油ににおいが強まってくるが、けっして悪臭ではない。著者にとっては小学校低学年のころ大阪市内にも残っていた木造校舎と、石炭スト−ブを思い出させる懐かしい香であった。今回のリニューアルで壁が塗り替えられ、床もタイル張りになって明るい雰囲気になった。



案内図

スチーム号の写真

大迫力の走りを体感しよう

 機関車館から京都駅方向に800mの体験乗車用の線路がある。1日3回トロッコ風の客車2両を連結したSL列車が往復しており、入館者は別料金で乗車ができ、10分間ほどの短い時間だが汽車旅の気分を味わうことができる。特に最終の運転後は、機関車が客車を切り離して転車台に乗り、炭水線に入って石炭の燃え殻の掃除と水と石炭の補給をし、再び転車台にのって回転した後、車庫に入る様子を見ることが出来る。この日はC61-2号機が坦当、入館者が多かったため、我々は14時20分発の臨時列車に乗る事ができた。またホ−ム前の休憩所の中の売店はキヨスクが坦当、鉄道ファンなら欲しくなるような物が並んでいる。


展示館の写真

建て替えられた資料展示館

 以前の展示館はかつての職員詰所を改造したもので、老朽化して薄暗く、おばけが出そうな雰囲気だったが、今回りっぱな展示館に建て替えられた。この建物は、嵯峨野線の高架化にともなって引退した二条駅旧駅舎を移築したもので、二条城をかたどったいかにも京都らしい建物だ。日本最古の木造駅舎で、京都市の指定文化財でもある。
 館内には、C11機関車の実物カットモデルや、全盛時の梅小路蒸気機関区のジオラマ、世界の蒸気機関車の模型などを展示してる。投炭練習機などは、旧展示館にあったものだろう。VTRやコンピュータを使った展示も充実、なぜか新幹線の運転シュミレーションができるコンピュータもあった。こちらにも、記念品を売るショップがある。


市電の写真

隣では旧京都市電も運転

 蒸気機関館の隣の梅小路公園では明治時代の京都市電が復元され、土日祝日には200m程の軌道を30分間隔で運転されている。(大人300円) いかにもレトロな電車がのんびりと走る。線路の終点で車掌が集電ポ−ルのひもを引いてゆっくりと方向を変える様子は、古き良き時代を感じさせてくれる。車庫ではオリジナル記念グッズも販売している。


付近の地図

梅小路蒸気機関車館

京都市下京区観喜寺町TEL075-314-2996
 市バス・梅小路公園前下車
 車・梅小路公園駐車場の割引あり
営業時間 9:30〜17:00
  (入館は16:30まで)
入館料
 大人(高校生以上)400円
 小人(4歳〜中学生)100円
SL体験乗車
 発車時間11:00 13:30 15:30
 大人(高校生以上)200円
 小人(4歳〜中学生)100円
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館/翌火曜日も開館)
12月29日〜1月3日
ただし下記の期間は無休
3月25日〜4月7日、7月21日〜8月31日

98年6月号

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